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生まれてきた息子への歓迎の音。ファンファーレを鳴らしたい

毎月、25日は新曲のリリース日〜!

感情を言葉より音で表現する『SOUNDS』 をテーマに掲げた2曲目が完成しました。ただ、今回は、曲作りにめちゃんこ難航し、納得いく形がなかなか見えず、完成がぎりぎりになりました(今月はリリースを休ませてもらおうか、迷うほど!)。

新曲のタイトルは『216』です。

じぶんの内面に踏み込んだ楽曲です。
まずは聴いてください!ど〜ぞ〜!

https://youtu.be/ta8T6zC-oeo

Keys , Programming & Arranged by sugarbeans
Mixed & Mastered by 上野 洋

★『216』はSpotifyやApple Musicなど、各種音楽配信サービスで配信中!詳しくはコチラ

この数字「216」とは、なんなのか?

はやい段階で、このタイトルの新曲をつくることを決めていました。ぼくにとってとっても大切なこの曲が、どのように出来上がっていったのかを書きたいと思います。

このnoteを最後まで読んでいただいた後にもういちど聴いてもらえると、違う聴こえ方をするかもしれません。

ぜひヘッドホン、イヤホンをお持ちの方はそちらで聴いていただけると、より曲のよさを体感していただけるかと思います(なぜ今回そんなこと言うのかも、後ほど解説いたします!)

ドキュメンタリーのような曲をつくる

まずはこの曲が生まれたきっかけから。一緒に曲作りをしているコルク佐渡島さんとの恒例の会話です。

佐「次の曲どうします?」
け「ううううん」
佐「やっぱりお子さんがうまれたので、そのお子さんとの出会いの歌になるんですかね?」
け「いやぁ…そういう曲あんまり好きじゃないんですよね。『こんなことあったの、感動的じゃない?』って、露骨に涙誘いにいくの。」
佐「そうなんですね。じゃあ何にします?」
け「ううううん来週までに考えます」

・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
1週間後・・

佐「曲どうします?決まりました?」
「こどものうたにします」
佐「あれ?そういうの好きじゃないって言ってませんでした?」

そう、心変わりした…のではないのだ。待って待って!聞いてくれ!ちがうんだ!きちんと言い分があるのよ〜おねがい〜い〜

先月のnoteでもお伝えしたのですが、息子が生まれました

一時は母子ともに危険な状態だったのですが、医師や看護士のみなさんのおかげで、順調に回復に向かっています。

この『SOUNDS』の取り組みの中には「出会い」というのもテーマに入ってまして、感情の動きを曲で表現することにも挑戦しているのね。

「216」とは、息子が母親のおなかのなかで過ごした日数です。

緊急帝王切開で生まれた息子に、大量出血で危険な状態だった妻がかけた言葉が印象的だったんです。

「ありがとう。ありがとう。がんばってくれて。ちっちゃい手。これからよろしく。たのしもうな。」

息子と対面した妻が、泣きながら息子に伝えたんだそうです。

その後、妻は一時的に耳が聞こえなくなり、言葉を発することもできなくなったので、おそらく持てる気力を振り絞って発した覚悟の言葉だったんだとおもいます。

この言葉に、ぼくは涙をこらえられませんでした。

無事退院し、お家に帰ってきた妻が、次の曲どうしようか悩んでいるぼくに、

妻「おなかのなかでボーイが聴こえてた感じを曲にするのはどう?その期間って、母親にとってすごく特別だから。」
け「そ!それいい!それで、うまれた時にはじめて声がクリアに聴こえて、出会いってのもぴったりはまるし…リズムを心音にするのどうかな?おなかの中でずっと聴いてるのって母親の心音だから、心音をリズムにして…30週と6日やから…216って曲名で!」

と、この曲を書くことになったんです。

事実をカタチに。ただただおこったことを記録するように曲をつくる。ドキュメンタリーのような曲。そこを目指すことにしたんです。

心音を音に落とす

まず、心音ってどうやって録音すんの?

…ってことでグーグルさんで調べました。いくつかサイトみてみたところ、聴診器を買ってパイプを切り、そこに超小型のコンデンサーマイクをつっこむ。というのが有力。

聴診器、ジャングルさん(Amazon)でしらべる。安くて1000円ちょい。高くて…えっ、い、1万超え。え、これにコンデンサーマイク足して2万ちょい…え、一回こっきり、しかも録音したとしてもつかえるかどうか分からんものに…2万ちょい…

毎度おなじみエンジニアの上野さんに相談!

「昔やったことがあるんですが、音がちっちゃいのでなかなかシビアです!もし録ってみてだめそうなら、ありもののデータの心音をつかいましょう!」

え…ということは聴診器…1000円のじゃ…だめ…です…?

よ、よし、こんな時はみんなに聞こう!

この5月から立ち上がったわたくしのファンコミニティきたがわ家の質問部屋でしつもーん!

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するとさっそく

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え…
そしてもう一件...

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え…

心音録音はシビア…雑音…血圧測定のやつ…
もう、1択やん。

というわけで購入

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きてしまった...もう戻れない...

んでどうしたのか、こちらわたくしの奮闘が動画で残っております。

https://www.instagram.com/tv/CBP35BmJJAR/?igshid=14eznfj3au7q1

(あれ。。。IGTVってはれないの?あれ。。。)

やさしいみなさまにこんなしょーもないものを見守っていただき、無事聴診器にマイクをぶちこむことに成功!

そして静かな環境で心音を録音!

家の階段上り下りダッシュで心拍を上げたバージョンもなんとなく録音!
ファンコミュニティー限定のYouTube生配信で見守ってもらいながら!ありがとう!

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。。。
なんかだいじそうなとこはみでてるんだけど。。。
一番大事そうなとこは先っぽやからきっと大丈夫という、根拠のない自信。
ちなみにふたつに分かれたもう一方を塞いでみたら逆に音が反射したりしてだめだった。

き、聴く?

これ、わたしの心音。通常バージョン。


ダッシュ後バージョン。



。。。
呼吸音。。。
はいっちゃう。。。
がまんしておさえても。。。
はいっちゃう。。。
これ。。。つかえるんかな。。。
2万5千円。。。

まいどおなじみアレンジ、sugarやさしいbeansに送信。。。

すると鶴の一声。

「つかえるんじゃないかな!上野さんに送ってみよう!」

「うおおおおおおおお!」
一気にエンジン、ブオオオオオオオンかかる。

これで一番の不安材料がなくなった。元気でな、不安ちゃん。

歓迎の音、ファンファーレを鳴らしたい

今回の歌詞は、妻にお願いしていた。

お腹の中にいた息子に話した言葉をまとめてもらったのだ。
それがこれ。

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はじめてこのメモをみた時、ひとり2階で泣いてしまった。

なるべく、なるべくこのまま歌にしよう。編集は最低限。ぼくがふだん歌詞として書くとすれば、つかわない言葉だが、変にいじらないほうがいい。

このうたは、どこまでデフォルメするのかがキーになってくる。曲、メロディーの方も同時にすすめていた。

まずは心音をリズムにするということで胸に手をあててテンポをはかった。

「ドッドッ…ドッド…」

あれ、これあれだな、6/8拍子だな。

ドッドッウンドッドッウンドッドッウンドッドッウン
1、2、3、1、2、3、1、2、3、1、2、3のリズムだ。
テンポは65だな。

よし、6/8拍子、テンポ65でつくろう。歌詞も文字数に規則性がないし、自由のきく6/8拍子はちょうどいいかも。

リバーブをかけたバスドラム(ドラムのキック)を心音にみたてて、デモをつくる。これもファンコミニティー限定でYouTube配信した。ああでもないこうでもない。時には歌詞の聴こえ具合から、みんなにメロディーを相談しながら。

最後、うまれたところはおもいきって4/4拍子、テンポは116に変えた。突然の出産だったので、そういう意味でもはまる。

凛として、きみはすてきな世界にうまれてきたんだよ。
こころから歓迎の音、ファンファーレを鳴らしたかった。

それでできたデモがこれ

しかし驚愕の事実が判明。。。

65というテンポをはかった真夜中の心拍数と、
録音した自分の心音はテンポが10以上違っていた。

え?心音。。。つ、つかえない?じ、じぶんのミスで?
え?曲のテンポあげる?むりむり、曲変わってまう。なしなし。
。。。。
。。。。

ま。。。いいか。なんとかなるか。
(いつもなんとかしてくれるのは周りの仲間。もうしわけなく。。。)

デモを待たせてごめんと、sugarbeansと佐渡島さんに聴いてもらう。
この2人が共通して言っていたのが「すこし長い」ということ。

たしかになぁ。
最後の生まれた場面まで展開も何もしていないし。

救急車で運ばれるところからマイナー調にして、起承転結の転の位置付けをはっきりさせることにした。

さらに妻の書いた言葉の熱量が減らないように、慎重にすこ〜しだけ削って、こねてくっつけて、、、できた!

うたもはまりそう。

冒頭からぎりぎりで〜ゆーとりましたが、この時点で11日。
上野さんへのレコーディングデータの締め切りが13日の夕方。
sugarbeansがアレンジとレコーディングする時間がじぇんじぇんない。。。

リスケジュールのこともメールして待っていると次の日アレンジがあがってきた。は、はえええええ。ごめんなさああああい。涙

ほんで病院のロビーで聴いて涙。。。
ドキュメンタリーにしたいという意図を汲んで音楽に仕上げてくれた。最高。
泣きながら最高です。と、返信。
横にいた妻に「今聴かない方がいいとおもう」と言い、家帰って妻聴いて号泣。それみて涙。。。

妻の気持ちが蘇るということは、再現があるていどできているという証。
よかった。。と胸をなでおろすもつかの間、じぶんのボーカルレコーディングが待っている。時間がない。

が、この時点で深夜1時。一日中病院ですごして体力も残っていない。
いい歌が録れるだろうか。。。いや、きっと厳しい。この歌は集中力が必要。。。

寝た。泥のように眠った。

そしてレコーディング。
これも限定配信した。

細かいメロディーは、やりながら感情含め組み立てていったので、毎回違うテイクが山のようにたまっていく。
2時間半ぶっ続けで歌ってようやくいいのが録れた。
見守ってくれたみなさん、ほんっっっっっとにありがとう。

14日、エンジニアの上野さんから調整された曲が送られてきた。

ヘッドホンをして一呼吸。再生ボタンを押す。

おお!ぼくの心音からはじまってる!
いい部分だけ編集して心音がリズム楽器になってる!すごい!!
それに声の質感。いい!

当初はお腹の中で聴こえるような加工をして、このnoteをみてはじめて何をうたっているのかが分かるようにしよう!と言っていたのだが、上野さんがボーカルにいい処理をしてくれたので、こっちでいこう!という話になった。

ヘッドホンで聴いてほしい。と言ったのは、後半出血して運ばれるあたりから、ブレスといって息をふだんよりたくさん吸って歌の感情に色をつけたから、もしよければそこにも注目して聴いてみてほしい。

できた!
まにあった!
その日の夜にやったインスタライブで、ぼくのテンションが高いと、おどろかれたのだがそれは

間に合ったぁぁぁぁぁぁ
いいのできたぁぁぁぁぁ
よーかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

からの開放感が原因である。
何回やっても、こ〜れがたまんないのよ〜。

今回は息子が妻のお腹の中にいた「216」日間を、なるべくそのまま歌にしました。これを聴いて「どう感じて欲しい」「これはこういうメッセージです」だなんてものは一切ありません。目に映ったもの、聞こえたもの、感じたものを、音楽という姿にあらわした。それだけのものです。

ぼくも母から生まれてきました。

もしかしたら母もぼくに、こんな言葉をかけてくれていたのかもなぁ。

最後まで読んでくれてありがとう!

来月は、「髪を切る前と後の気持ちの変化」を歌にしようとおもいます!

「あたらしいじぶんになる期待」と「あたらしいじぶんになった喜び」そのワクワクを!


ど、ど〜やって〜〜(只今絶賛行き詰まり中なりよ〜)

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けんいち(Kenichi Kitagawa)
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