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大地を蹴りリズムは生まれ、その音にあわせ木々が歌う。

曲づくりの新テーマは「SOUNDS」

毎月25日に発表している新曲たち。

手紙を書くように楽曲を制作してきた「レターズ」は先月で一区切りし、今月からは新しい試みがはじまります!

テーマは「SOUNDS」、そして「出会い」

気持ち一新に、じゃんじゃーん作っていきます。

5月は、森に暮らす人がはじめて海をみた時の感情を歌で表現しましたの!

曲名は、flash!flash!flash!
聴いてみてください!再生どうぞぉ!

Keys , Programming & Arranged by sugarbeans
Mixed & Mastered by 上野 洋

★『flash!flash!flash!』はSpotifyやApple Musicなど、各種音楽配信サービスで配信中!詳しくはコチラ

いかがでございましょう。海、SEA、みえました?

ぼく海みた時、こんな感情なるの。

しかし、そもそもなんだ?
森に暮らす人がはじめて海をみた時の感情って?

まずはその辺からお話していきたいとおもいます。よろしければ最後までご覧になっていただけると、うれCのC(元ロードオブメジャーのギタリストである近藤くんがバンド名決める時に出してきた一案。その後、無事この案は却下されロードオブメジャーとなった)

感情を言葉ではなく「音」で表現する!

4月に発表した『ごはんできたよー』で、手紙をかくように、1曲1曲メッセージから楽曲を制作した「レターズ」プロジェクトは終了。

一緒に曲作りをしているコルクの佐渡島さんが、次のステップへいくため、楽しく曲づくりを続けていける仕組みを提案してくれた。

佐「感情を言葉より音で表現しましょう。毎月音楽の表現方法を学びながら作っていって、そのシリーズをたとえば1年とか続けていけば、すごくレベルアップしていける」

いい音楽をつくれる。今より面白い自分が想像できた。なにより、ワクワクした僕がいた。

佐「きたがわさん、今もし自粛があけて好きなことしていいよってなったら、何がしたいですか?」

け「海いきたいです

佐「じゃあ、森に暮らす人がはじめて海をみた時の感情とかどうですか?」

け「え、なんですかそれ…えええええ…むずそう…でも、やってみたいです。」

というわけではじまった。頭の中のひとり相談室。

「フィクション?ノンフィクション?」
「じぶんの中にないもの書ける?」
「歌詞どないすんねん。」
「アップテンポ?え?アップテンポ?」
「場面転換が命かもしれないにょーん。」
「キーは?低すぎず高すぎず?」

曲のしっぽをこの手につかもうと、あれやこれやといろんな角度からかんがえる。

・・・。

・・・・

決めた。

ぼく、わざわざ見にいく海がありまして、好きなのね。そこ。

ちょっとした高台で、住宅街を抜けたら視界がひらけてバコーーーーンとびこんでくる1面の海。天気ええとき宝石みたいにキラッキラしてんのね。んでなんだかスーパースローみてるようなタイム感になんのね。

ここ来るたびに「わぁぁぁぁ」って声がもれちゃう。

この気持ちを、音楽にしてみよう。

きれいなコーラスで、ここに来たら時間の流れがかわるようにリズムをパッとなくして、かつ転調しよう。んで転調を覚えよう。(曲の途中でキーが変わること。やり方は分かんない。sugarbeansに相談だ。)

と、まずは今回のメインのメロディとなる海に出会ったパート「あ〜あ〜あ〜あ」から作った。

問題は森だな。森ってなんだ。
森に暮らしたことねーぞ。
森といえば。。。ジャングルの王者ターちゃん。。。

いやあわんあわん。このコーラスとターちゃんあわん。出会いってそういうことやない。

海のパートできたし、一回全体をかたちにしてみよう〜と、なんとなく森のイメージもつくってできたデモがこれ。

佐渡島さん古川さんに聴いてもらう。

佐「あんまり頭にのこらないですね。」
古「…。(無言)」

よし、こりゃボツだ。

海を見た感動を、どう歌詞に落とすか?

で、なにがだめだったかを洗いだし、改善!

・テンポはやくした方が海コーラスにいった時の変化が大きくなる
・デモの段階とはいえリズムだけでも入れたほうがそこの落差も伝わるはず
だってそこメインなんだもん
・さぁ入れてみよう、リズム
・どうやっていれるんだ…
・おでのオンボロiPadでいけんのか…

次の日、いつものスーパーへ向かう車の中、突然メロディをおもいついた。

テンポもいい。これに海コーラスをつなげてみよう。つながるのだろうか。つながりますように。お願いですつながってください。

お家帰ってキーを確認。いけるかな。。。無理か。あ、でもちょっとメロディかえれば。。。

!!!
つ、つながった!いける!

レターズでむずかしかったのが、メロディーと歌詞のバランス。毎度毎度好きなものや大切な人へ向けて、あふれてこぼれてどっひゃーって歌詞を書いてたもんだから、歌詞もメロディーもてんこ盛りの特大盛りになっていた。それをアレンジのsugarbeans、エンジニアの上野さんが本当にいい具合にコントロールしていい形になっていた。

今回このシリーズをはじめるにあたって佐渡島さんと話していたのは…

・歌詞の意味が曲作りnoteを読んで、はじめてわかるような部分をつくる
・聴く人がそれぞれに自由に想像してもらえるような余白をつくる
・聴いていて耳が気持ちいいように

だったので、楽曲の構成はすごくシンプルにした。

コーラス部分以外はひとつのコードしかつかわない。(アレンジ後は最高のカタチに変わっている。)
ボーカルメロディーはほぼ繰り返し。

Bメロも作ろうかとおもったのだが、やめた。

森と海。

その場面はそのふたつだ。繋ぎの部分は無機質にしようとおもい、すべて同じ音にした。

flash flash flash つきささる乱反射
flash flash flash 一面の乱反射

母音も「a」でそろえた。

また、海をみた感動を邪魔しないように、

オーダーメイド みにま(とい)
オーダーメイド はじ(めまして)

の部分のメロディをすべて同じ音にした。情報量を減らすためだ。

アレンジをしないぼくは、バックの演奏がない状態でしか曲をつくれない。デモの段階ではメロディーを動かさないと味のうっすい曲になってしまうため、これまでは楽曲まるまるひたすらメロディアスに作り上げていた。

完成イメージをもたないまま作っていたからだ。アレンジするにあたって自由の少ない曲、それこそ余白の少ない曲を多くつくっていたのかもしれない。

こうして余白をつくることによって、アレンジで楽曲全体のバランスを整えやすくなった。気がした。あくまで、気がしただけだ。これについてはまだやりながら検証が必要だ。

今回のうたは海をみつけた時の感情。とにかくそれを伝えたいので、曲も短くした。海コーラスも1度しかでてこない。でもこれでいい。手探りでリズムを入れ、入り口と出口だけきれいにそろえた。

歌詞も書いた(インスタライブでみんなに見守られながら。おにぎり食べながら。)


どこかであなたが泣いたら どこへでもとんでいくのに
いつでもあなたが泣いたら いつでもとんでくのに
ぼくはどろんと姿を消す 脱兎のごとく姿を消す
尻尾をつかまれないように 誰かに嗅ぎとられないように
誰かに嗅ぎとられないように

足の向くままに走った 駆けずり回って転び起き
ぐしゃぐしゃの顔で走った 右往左往 あてもなく
ふがいないやってなんだか すべてがいやになっていた
ぐしゃぐしゃの髪で走った ああああ あてもなく

フラッシュフラッシュフラッシュ つきささる乱反射
フラッシュフラッシュフラッシュ 一面の乱反射

時間が止まった 呼吸を忘れた
それはあおい海だった
顔を洗った 涙と海がまざった
なんてちっぽけなんだ

もしもあなたが泣いたら 一緒にこの海にまざろう
そしてまた旅にでよう ああああ 海にまざろう

ちがうかなぁ。この歌詞。
世界観とあわないなぁ。この線ではない。一歩前進。

ううううん。どう修正していくか。。。さぁぁどしぃぃぃますわぁぁぁぁぁぁあん。(佐渡島さん)に聴いてもらいつつ、せっかくなので打ち合わせもファンのみんなに参加してもらい、意見をもらうことに!

すると参加してくれたみんなが「草木がグングンのびてく」や「はだしで走ってる」などなど、曲を聴いて感じた各々のイメージを言葉にしてくれた。
これがほんとに大きな大きなヒントとなり、すこしファンタジー路線で、絵が浮かぶような歌詞を書くことにした。

そこからはやかった。

裸の人、ゼロの人が森の中を走る。足は泥んこ。そしたら次はそれが靴下になって葉っぱがひっついてブーツになる。足音はリズムとなり、森に音楽が生まれる。みずみずしい木々の葉が光を反射している。

ざっくりとストーリーを描き、メロディーに乗るように歌詞をあてていく。足りない部分はメロディーから歌詞を導き出す。

「ためらいはじらいはじけとべ できないだなんてぶっとばせ」

急にうかんだ。いいかも!
と出来上がった歌詞がこれっ!


新緑のカーテンがゆれる
むいむいが不意に照らされる
はだかのまんまで駆け走る
ぐんぐん駆け走る

どろんこのくつしたをはいた
その上に葉っぱのブーツ
どこまでだって行ける気がした
ああああ駆け走る ああああ駆け走る

大地を蹴りリズムは生まれ
その音にあわせ木々がうたう
奏でる森のオーケストラ
ああああ響き渡る

ためらいはじらいはじけとべ
できないだなんてぶっとばせ
天使のふりした悪魔から
ああああ ハミキィナキデ

flash flash flash つきささる乱反射
flash flash flash 一面の乱反射

ひかりのスカート 波風の模様
オーダーメイド 身にまとい
うろこのスパンコール 貝殻のピアス
オーダーメイド はじめまして

潮風のくつしたをはいた
その上に砂浜のブーツ
どこまでだって行ける気がした
ああああ どこへだって

ためらいはじらいはじけとべ
できないだなんてぶっとばせ
悪魔のふりした天使から
ああああ ルキデラナミキ

いいんじゃないかな。。。
こういう歌詞ほっとんど書いたことないけど、歌の世界観を広げつつ絵もうかぶし、これいい!

みんなからの声あっての完成!

時を同じくしてアレンジもsugarbeansからあがってきた。
んんんがあぁぁぁぁ最高だ。
最後の

ためらいはじらいはじけとべ
できないだなんてぶっとばせ
悪魔のふりした天使から
ああああ ルキデラナミキ

ここまではほぼ同じコードできているんだが、それが振りになって最後に演奏が高揚感を増すようにコードがだんだんと上がっていくの、分かっていただけるだろうか?

ぼくのいつもの歌詞の傾向なのだが、この最後のかたまりでだいたい一番濃いメッセージを入れがち。彼はそれを分かった上で、歌詞もまだない状態の曲にこのアレンジ。ぴったりだ。書きあがったばかりの歌詞と、ぴったりだ。

ぼくにとって歌は誰かとコミュニケーションをとるための大切なツールだ。毎月毎月、あまりに自然にやりとりをしていたのだが、そうだ。アレンジと演奏のsugarbeans、エンジニアの上野さん、この2人ともこうして音楽でコミュニケーションをとるのが、とびきりたのしいんだ。

ファンのみんなともたくさんコミュニケーションした。

歌詞を考えるところ、レコーディング、
あ、そうそう歌のレコーディングもインスタライブで配信したのね。
そしたらすごいの、いいテイクの時はタイムラインが

「いまのいい!!!!」
「いい!」
「さいくぅー!」
「こっちのがいい!」

って、沸くの!

どういうアプローチで歌うか、迷っていろいろためしてみても、

「こっちのがいいー!」
「それさいこーう!」
「これ一択!」

って、沸くの!

歌レコーディング、ずーーっとひとりでやってひとりでオッケーテイク決めてってやってたから、このやり方めちゃめちゃたのしい!

だってそもそもさ、こうやって好きで聴いてくれる人に喜んでもらえることが一番うれしいでしょ?

そのみんなが「いまのいい!」って言ってくれたものって、それもう答えなのよね。

歌詞も実はレコーディング中に変わったの。

できないだなんてぶっとばせ

これ元は

できないだなんてふっとばせ

だったの。この「ぶ」か「ふ」か、これ実は大事で。ここって曲のテンションが上がてるところなのね。そこでアタック音のない「ふ」を、濁点がついてアタック音のある「ぶ」にするだけで、音に厚みもうまれるしアクセントがつくしリズムも強調される。これを「ぶ」のほうがいい!って指摘してくれたみんなに(じぶんで気づかなきゃなんだけど)ほんとありがとうございますなのです。なんたる心強きディレクター集団。コメントしなくとも、見守ってくれてたあなたにも本当にありがとう。

かくしてできあがったこの新曲。

たくさんのあなたのおかげでできあがったこの曲。

とても思い入れのある曲になって毎日毎日聴いてます。
短いので何度も何度も聴いてます。
車のって海沿い走りながら聴くの、もう最高です。

ぜひ、あなたの好きな海や景色をみながら聴いてもらえたら、その時に聴きたいとおもってもらえる曲になっていたら、すんごくうれしいです。

大地を蹴り、リズムは生まれる。

ここからはあんまり関係ないのですが、子供が産まれました。

予定より2ヶ月はやく、緊急帝王切開でした。

一時は妻も子供も危険な状態になり、でも祈ることしかできないのでかんがえないためにゲームしたりニュースみたりと人生で一番長い2時間を待合室で過ごしました。

なんとか妻も回復し、低体重の息子はNICUに入って24時間体制で病院のみなさんに守ってもらいながら今もがんばっています。

なまえは「大地」

まだあるくことも、はいはいすることも、じぶんで呼吸することもできない息子が、おおきくなって、じぶんで歩けますように。それが叶いますように。「だいち」というなまえにするのだけ決めていて、ほんとは違う漢字にしようとおもっていたのですが、この「大地」に決めました。

この歌の歌詞に

大地を蹴りリズムは生まれ
その音にあわせ木々がうたう

と書きました。

この時はまさかもう産まれるだなんておもってもいなかったのですが、息子の名前を歌詞に入れていました。

そしてよく聴いていただけると分かるかとおもうのですがこの部分、超力んでる。。。気持ちがのっかっちゃってる。。。

ぼくちょっとあれなんですが、妊婦検診でエコー見るたびにいちいち泣いてしまう人なのです。妻も泣かないのに。

そして、たまたまなんですがこの歌が完成した5月14日、息子がこの世に産まれたんです。

あ、忘れてた。
歌詞のこと。
わけのわからんカタカナの造語みたいなのあるでしょ?
あれ、わかった?

わかんない?
じゃあ、逆から読んでみて!

これ妻がよくやってることらしく、理不尽な言葉や思いやりのない言葉を言われた時に、その言葉を逆から読むんだそうです。

すると気も頭もそっちに神経がいって、しかも言われた言葉が逆の意味になる。という必殺技なんだそう。

ぼく、じぶんがやりたいことを、人から「そんなの無理やって」って言われるのめっちゃ嫌いなんです。ぼくは「そんなの無理やって」で逆に燃えて「やったるわい」ゆーて反骨心のバネでやってきた部分あるんですけど。

「無理やってやめとき」って、こっちをおもいやってるおつもりの優しさの仮面かぶったおせっかい嫌なの。そんなかーんじ!あんまゆーたら余白なくなるし、これ書き出したら長なって曲のイメージ変わっちゃいそうやからおーわり。以上!


<編集協力:井手桂司>

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