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足は震えるわ、声は出ないわの僕を支える『大切なもの』

もう歌うのは「やめよう」と思っていた。

昨年8月に「けんいち」として再出発して半年が経ちました。

ロードオブメジャー時代とも、北川けんいちとしてのソロ時代とも全く違うスタイルでの曲づくり。毎月新曲を発表してきたけど、今は曲づくりが本当に楽しくて、僕のテンションは『歌が生まれるまでの記録note』を読んでもらうと伝わるんじゃないかな。

そして、来月3月8日の日曜日。
今年はじめてのライブをやります。

でも、じつは僕……
ライブをするのが、むちゃくちゃ不安なんです!!

本当は1年前に、人前で歌うのを「もうやめよう」と思ってたくらい……。

ライブ前は毎度毎度すんごく緊張します。もう逃げ出したいくらい。直前は足の震えが止まらないし、ここ2・3年はライブ中に声が出なくなることも実はあって……。

そんな状態が続いていたので、人前で歌うのはもうやめて、曲づくり専門のミュージシャンを目指そうかと思ったり……。

そんな僕が、また人前で歌いたいと思えたのは、ファンのみんなのおかげなんです!

いや、一人ひとりの「ともだち」のおかげ!!

……それを伝えたくて、ライブの前に、そう思えた理由をnoteにまとめておくことにしました。今の僕の気持ちを、みんなに聞いてもらえたら嬉しいと思って。

まずは時計の針を少し戻して、「けんいち」以前の僕についてから話をはじめます。


燃え尽きてしまったロードオブメジャー時代。

僕を語る上で欠かせない存在が『ロードオブメジャー』です。

ロードオブメジャーはテレビ番組の企画で結成したバンドです。それぞれ違うバンドで活動していた4人が集められ、短期間でメジャーデビューを目指す企画でした。

それまで神戸で活動していた僕も、バンドを抜け上京。そして、他のメンバーと初対面するわけですが、驚くことに4人全員が作詞・作曲をしたことのないメンバー!

そんな僕らだったので、寝る間を惜しんで必死に楽曲作りをしました。当時ヒットしている楽曲のパターンをみんなで調べたり、自分たちが好きな曲の特徴を語りあったり。そうして、誕生したのが僕らの代表曲である『大切なもの』であり、1stアルバムとなった『ROAD OF MAJOR』です。

このアルバムは予想を超えて多くの人に聴いてもらうことができました。自分たちのことをわかってくれる人が、こんなに大勢いる……。そう思うと、本当に嬉しかった!

神戸から東京に来て、いきなりプロのミュージシャンと並べられて、「俺ら、本当にやっていけるのかな」と不安とプレッシャーがすごかった…。そのなかで必死にもがいて作ったものだったから、それが全て報われた気持ちになりました。

その喜びが大きくて、大きくて、その結果、もうこれ以上はいらない!と思ってしまいました。歌いたいことは歌いきった。もう満足だ…と。

いわゆる燃え尽き症候群……。

その後、僕は全く楽曲が作れない状態に陥りました。見かねた事務所のディレクターが「ロードオブメジャーには多くのファンがいるんだから、次の曲をつくらなきゃダメだぞ!」と尻を叩いてくれて、なんとか曲を出す状態が続くことに。

振り返ると、当時は自分がどうなりたいのかが全く見えてませんでした。ディレクターからアドバイスをもらって色々と試してみても、「なんか、これではないんだよなぁ」というモヤモヤが積もり、その結果、バンドも解散に向かいます。


「もう音楽は辞めて、普通に働こうかな…」

ローオブメジャーの解散後は、ソロで活動をはじめます。

バンド時代にはできなかったことも、ソロでなら自由にできる!ソロ活動では、とにかく自分が「いいな」と思ったことを、どんどん形にしていきました。やりたいことがポンポンと思い浮かび、活動開始してはじめの3年間は毎年アルバムをリリースしました。

ですが、CDが思うように売れない……

リリースするごとに発売枚数が右肩下りで、次第にCDを発売することに及び腰になりました。曲をつくることは好きなので、新曲はどんどん貯まっていくけど、それを世に出すのが怖い。

そんな時、ライブ中に声が出なくなる事態が起こるようになってきて、「あれもダメ、これもダメ」とネガティブな考えがぐるぐると頭の中を巡っていく。

「もう音楽は辞めて、普通に働こうかな……」

そう妻に嘆いたことも。ちなみに、その時の、妻の返答の言葉を今でも覚えてます。

「普通に働くって、なんなの? あなたは音楽しかしてきてないよね。音楽がダメだから、普通に働くって、働いてる人のことをナメてない?」 

ぐうの音も出ないくらい、正論です(笑)。


自分に弱気で、目立つのが苦手なボーカル。

そもそも、本来の僕は「人前で堂々と振る舞える人間」ではないんです。

どちらかというと、目立つのが嫌い。小学校の時は、クラスのみんなの前で作文を発表すると泣いてしまうような生徒でした。テニスの部活では、練習では上手くプレーできても、試合になると途端に力が発揮できなくなることで有名だったり……(笑)。

そんな人間が、「よくバンドのボーカルとしてやってこれたな」と思いますよね。本当にその通り。

高校からはじめたバンド活動は、音楽が大好きで夢中だったのと、とにかく当時は必死だったので、特に緊張を感じないまま駆け抜けることができました。ただ、ロードオブメジャーの1stアルバムが大ヒットして、「もう俺はやりきったぞ!」と思ったあたりから、本来の僕が顔を出しはじめます。

特に、音楽番組やフェスへの出演が大の苦手。

色んなアーティストの方と一緒に出るじゃないですか。だから、僕らのことを求めていないお客さんが当然多い。普通のミュージシャンであれば、「よし!今日の演奏で、そういうお客さんを振り向かせてみせるぞ!」と意気込んでステージにあがるのかもしれないですけど、僕は全くダメ……。もう足が震えまくって、歌えないレベル。

だから、そんな弱気な僕が「ここまで、よくやってきたなぁ」という気持ちもありました。そろそろ人前で歌うことから引退してもいいのかもしれない。そう真剣に考えていたのが、去年の今頃です。


「北川さんなら、できる!」と迫る謎の男。

そんな時に、「僕と一緒に音楽をつくりませんか?」と声をかけてくれる人が現れます。

それが、コルクの佐渡島さん

佐渡島さんは『宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』などの人気マンガを担当した編集者で、今は自分の会社でマンガ家や小説家などの作家のエージェント業をしている人。ただ、当時の僕は佐渡島さんのことを全く知りませんでした。

たまたま僕がロードオブメジャー時代からお世話になっている人が、佐渡島さんの会社で働いていて、その人から「佐渡島が会いたいと言っているので、会ってみませんか?」と連絡が。それで会いに行ってみたら、いきなり「一緒にやりましょう!」と言われたのです。

正直、「???」でした。

マンガ家や小説家が所属している会社に、ミュージシャンの僕が入っていいのか…? そもそも、この人は僕のどこに可能性を感じているんだろう…? 更に言えば、この人は信頼できるのか…?

そんな風に「?」が大量に浮かんでいる僕に、「北川さんなら、できる!」と迫る佐渡島さん。「大丈夫かな、この人」と思ったのを覚えてます(笑)。

その少し後に、佐渡島さんと食事に行くことに。「これからどういう音楽を作っていくかを話すのかな」と思っていたら、音楽の話はほとんどナシ。その代わり、何が好きかをずっと聞かれました。それで、「妻と洗濯と、僕を応援し続けてくれるファンのみんなが大好きです」と話していたら、「じゃあ、それを歌にしましょう!」といわれて、えっ…!?と思いました。

「売れる、売れない、はあくまで結果。まずは、北川さんの好きを歌にしましょう。自分の感情をきちんと歌で表現してみましょう。そのほうが、ファンも嬉しいし、結果的にヒットに繋がりますよ!」

これまで、そんなことを言ってくる人はひとりもいなかった。自分の好きを歌にする。それでいいのか…!?と思いつつも、魅力的な曲の作り方だと感じていたのも事実。

もうやめようかと思っていた音楽活動。せっかくだから、もう少しだけ続けてみるか。ダメだったら、やめればいい。そんな気持ちで、佐渡島さんと一緒に曲づくりをはじめました。


歌で「感情を届ける」とは何か?

佐渡島さんとの曲づくりは、それまでの曲づくりと全く違うことがあります。

それは「手紙」を書くことからはじめること。

僕が佐渡島さんと最初につくった曲は、妻へのメッセージソングでしたが、作るのがものすごく大変でした……。

なにせ「自分の感情」にちゃんと向き合ったことがない!

だから、まずは妻に対して手紙を書くことからはじめました。自分の気持ちを嘘偽りなく手紙に書きなぐる。すると、たくさんの想いが溢れ出しました。あれも伝えたい。これも伝えたい。気づくと、手紙はとんでもない文字量になっていた。

でも、これじゃダメだ。言いたいことを全て詰め込んだら、何も伝わらない。結局、僕は妻に何を伝えたいんだろう……?

自分と向き合った結果、妻からの毎日の「おはよう」の挨拶に実はすごく救われていると感じたので、それを歌で伝えたいと思いました。

そうして生まれた歌が『おはようがすき』です。

数ヶ月前まで、新しい曲を作るなんて考えもしなかった僕。妻に感謝をただただ伝えたくて作った歌ですが、この曲で一番感動しているのは僕自身かもしれません(笑)。

「おはようがすき」の曲づくりの裏側は、こちらの記事に書いてあるので、よかったら読んでみてください。

曲づくりで、毎回意識しているのは「手紙を届けるように、自分の想いを歌で届ける」こと。妻や弟へのメッセージソングもあれば、愛犬への歌もあるし、洗濯やアイスクリームといった僕の好物への歌もある(笑)。

歌という形の僕からの手紙だと思って、みんなが受け取ってくれていたら嬉しいなぁ。


聴いてくれる「1人ひとり」を近くに感じる日々。

曲づくりのスタイルを変えるともに、新しい活動も開始しました。

それは「SNSでのコミュニケーション」

実は、それまで僕はSNSを一切やってませんでした。アカウントはあったけど、ライブの告知で使うくらい。いわゆるSNS音痴(笑)。

だけど、佐渡島さんから、「もっとファンの人たちと仲良くなったほうがいいですよ。今でもフォローしてくれる人たちは本当に北川さんを好きな人たちだと思うので、そういう人を大切にしたほうがいい」と言われ、その通りだと思い、腰を上げたのです。

それで、Instagram毎週月曜23時からライブ配信をはじめました。

▲ インスタライブを観てくれていた「saa taa」さんが、Youtubeに上げてくれた動画です。なんと90万回再生されている!ありがとう!

観た人はわかると思うけど、まぁ…ゆるい放送です(笑)。

それでも、毎週視聴してくれる人がいて、コメントやリクエストをくれる人がいて、「あぁ、自分の存在を求めてくれる人たちがいるんやなぁ」と毎週実感します。単純に、嬉しい(笑)。

何か恩返しできることはないかと思って企画したのが「バーズデーソング企画」。当日に誕生日を迎える人の名前を聞かせてもらって、曲にのせて誕生日をお祝いさせてもらってます。

他にも、Twitterで僕の曲についてツイートしてくれてる人の感想を読みにいったり、それにコメントをさせてもらったり。

恥ずかしい話、ロードオブメジャー時代は、みんなの顔がちゃんと見えてませんでした。「お客さん」というひと塊りで見てしまっていた。実際に会うのも、年に数回のライブの時だけ。すごく遠い存在でした。

でも、ソロになって、僕の歌を聞いてくれる人の数は少なくなっていったけど、毎回ライブに遊びにきてくれる人たちがいて、そのみんなとはすごく仲良くなることができました。気持ちが苦しい時期に、僕が音楽を続けられたのは、一人ひとりのみんなのおかげです。

今はSNSを通じて、ファンのみんなの存在をより近くに感じながら日々を過ごせています。

一番しんどい時期を何年も支えてくれたみんなに、どうしても「ありがとう」を伝えたいーー。

そう思って、みんなの顔を思い浮かべて作った曲が『ともだち』です。


みんなの居場所になりたいし、その居場所をみんなと作りたい。

こうした活動を続けるうちに、これまで見えてこなかった「ありたい姿」がハッキリと見えてくるようになりました。

それは、ファンのみんなと「フラットな関係」になること!

僕の曲を聴いて、僕を応援してくれるのは悪い気はしない。でも、僕もみんなを応援したいし、みんなから影響を受けたい。ひとりで音楽を作っていくのではなく、みんなで音楽を楽しんでいきたい。

みんなの愛犬の鳴き声を『いぬいぬ』に入れたり、みんなに『ワレラ洗濯探偵団』でコーラスに参加してもらったのも、そういう理由です。

小さい頃から、人前で何かをするのは苦手で、それは大人になっても変わらなかった。でも、みんなと一緒に作っている感覚があれば、僕は思いっきり楽しめる。

世の中にこれだけの膨大な数の楽曲が溢れる中で、僕の歌を気に入ってくれているのであれば、僕と何かしら似た部分があると思うし、いい関係になれると思うんです。

みんなの居場所になりたいし、その居場所をみんなと作りたい。

そして、みんなと久しぶりに会いたいと思って、ライブを行うことにしました。


一人ひとりの「気持ち」に寄り添うライブを!

3月8日のライブの名前はレターズ

手紙を届けるように作ってきた曲たちを、ともだちのみんなに手渡しで渡したいーー。

そんな想いを込めたタイトルです。

同時に、来てくれた一人ひとりに、それぞれ特別な手紙を贈りたいと思っています。

実は『ともだち』のこのジャケット。
手紙のシールがそれぞれ違うのに気づいてました……?

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例えば、100人の人がライブに来るとしたら、一人ひとりの楽しみは微妙に違うと思うんです。ロードオブメジャー時代の曲を聴きたい人もいれば、最近の曲をみんなで歌いたいという人。そこにはグラデーションが存在しますよね。

僕は、一人ひとりが楽しみにしているものに寄り添っていきたいんです!!(やり方は、全くわかってないけど……笑)

なので、ライブに参加してくれる人には、事前アンケートを取らせてもらいます。どんなことを楽しみにしているか? どんな曲を聞きたいか? そんな質問をおくるので、よかったら回答してほしいです!

まだまだ実験中ではありますが、みんなと一緒にライブをつくって、みんなで楽しい時間をつくっていけたら最高です!


本当に「大切にすべきもの」とは何か?

最後に一言。

実はソロになってから、僕はずっとロードオブメジャー時代の代表曲である『大切なもの』を歌うことに抵抗がありました

「ロードオブメジャーではなく、今は北川けんいちなんだ!」という自負もあったし、他のバンドメンバーや昔からのファンがどう思うかも不安だったし、色んなことがごちゃ混ぜになって、ずっと歌ってなかったんです……。

でも、ソロになってはじめて人前で『大切なもの』を歌った時、お客さんがめちゃくちゃ号泣していました。泣き崩れる人もいたりして。

その時に「ハッ…!」と気づいたんです。

『大切なもの』は、本当に大切にしないといけない歌だと。そして、僕の歌を聴いてくれる、みんなの「気持ち」を大切にしないといけないと

▲ 去年の「リボーン」ライブでも歌わせてもらいました。この時も、みんなの気持ちが伝わってきました。

「売れたい」とか「有名になりたい」ではなくて、「目の前の人を喜ばせたい」が僕の音楽活動の原点です。この半年間、一人ひとりのファンと向き合って、改めて僕はそのことを思い返しました。

ライブやInstagramやTwitterを通じて、僕と絡んでくれるファンのみんな。いや、「ともだち」のみんなのおかげで、今の僕は前に進めています。

3月のライブでは、そんなみんなに少しでも「ありがとう」の手紙を届けられたらと思ってます。

……と、まぁ、真面目に書き連ねてきましたが、是非、こんな僕とこれからも楽しく遊んでもらえたら嬉しい!!

それでは、インスタライブやライブで、また会いましょう!


ちなみに、「レターズ」まだ若干チケットあります!

3月8日(日)に京都で行われるワンマンライブ「レターズ」ですが、まだチケットに若干の余裕があります。

詳細はこちらにまとめてます!よかったら、遊びに来てください!

<編集協力:井手桂司>

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けんいち(Kenichi Kitagawa)
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