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『ごはんできたよー』の声が聞ける、いつもの1日が、いちばんうれしい。

大変な今だから、聴きたいのは「ふつう」

毎月25日に発表している新曲たち。

手紙を書くように、自分の気持ちを歌で届けるをテーマに、妻へ向けた『おはようがすき』、応援してくれるみんなへ向けた『ともだち』、秘めていた自分の気持ちを書いた『うたがすき』など、僕の大切な想いを歌にしてきました。

そして今月は、なんにもない「ふつうの1日」を歌ってみました。

歌にするようなことでもない、平均的なただの1日。いつからかは覚えていないのですが、そんな日がいちばんうれしい日になっていました。

朝起きて妻に「おはよう」と言って、洗濯して犬の散歩行って、ご飯たべて……。YouTubeやなんかで、1日をまるまるギュってするような動画あるじゃないですか。あれの音楽みたいもんなんかな。ちがうか。

とにかく今は、もう大変じゃないですか。
こういう気持ちの時に聴きたい曲を自分でつくってみました。

その名も『ごはんできたよー』です。
聴いてみてくださいー!

Keys , Programming & Arranged by sugarbeans
Mixed & Mastered by 上野 洋
Special Thanks インスタライブお茶会のみなさま

★『ごはんできたよー』はSpotifyやApple Musicなど、各種音楽配信サービスで配信中!詳しくはコチラ

今回も歌が完成するまでの「道のり」を書いていこうとおもいます。

過去でも未来でもなく「いま」

今回の曲は、「ふつうの1日」をテーマにしているけど、もともとは「きのう」をテーマにうたを作ろうと考えてました。

あんまり「過去」は振り返らないし、そんなに「未来」のことも考えてなくて、「きょう」をどんだけ楽しくしようか考える毎日をぼくは送ってます。

だけど、「きのう」までがあったからきょうを楽しく過ごせるわけで、未来を考えるのだって、きょうをたのしく生きるためで。なんだかふと、きのうまでのことすべてに「ありがとう」って言いたくなって。それで、「きのう」について書きたくなったの。

それで、一緒に曲づくりをしている佐渡島さんに相談してみると……

佐「過去と未来のバランスがとれてるって大事ですよね。過去にひっぱられても、未来にひっぱられても、今を生きられなくなる」

佐渡島さんとここまで曲をつくってきておもうのだが、僕の思っていること、言いたいことへの理解がめちゃんこ早い。なんなら追い越していく。追い越してぼくがまだたどり着いてなかったゴールまで迷子のぼくの手を握ってこっちこっち!って連れてってくれる。パパだ。ここからこのnoteでは佐渡島さんをパパと呼ぼう。

ええとなんやったっけ…
あぁ、きのうと未来とのあれね、ほんでえっと…あ、おもいだした。

北「そのバランスをとるのがすごく難しかったんです。このごろはとれるようになったんですが」

というような雑談から、「いま」について書くことにした。今月もまた、雑談から曲のタネが生まれる。何について書くか、実はそれをみつけるのがすごく大変なのだが、パパ…じゃなくて佐渡島さんはいつも雑談から、しかもしっくりくるタネをいとも簡単にみつけてくれる。

これまでの歌詞に入れた「むすび」の楽曲へ!

ということで、歌詞をすぐに書いてみた。

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この歌詞。これまでに作ってきた曲たちが顔を出しているのに気づいてもらえたかな…?「おはよう」からはじまり、洗濯、愛犬、うた、ともだちのみんな、アイス、お風呂。

実は、新型ウイルスの影響で白紙になったんだけど、「けんいち」としてリリースした曲をまとめて『レターズ』というアルバムを作る計画があって、今回の曲はそのアルバムに収録する最後の曲になるはずだった。

それもあり、これまでのうたの歌詞に入れたむすびの楽曲にしよう!曲をすべて聴いてくれてる方や、曲作りnoteを読んでくれてる方の頭に絵が思い浮かぶような楽曲にしよう!そう決めた。

とはいえ、書いてみたら、結構長くなった……。ただ、あんまり削ると歌詞の中の人の可愛げがなくなる(じぶんで言うことではない)

北「長いんですよね」
佐「長いですね」
北「ですよね」

全員が長いと思いながらも、当たって砕けろのメロディ作りへ。

自然にカラダからでてきたメロディー

最初、くるりの『ブレーメン』みたいな空気感で作ろうとした。が、まったくダメだった。

この生活感しかない歌詞が、幻想的なメロディにまーったく馴染まないのだ。むしろださい。「地に足つけてる生活ってかっこいいよね」というメッセージに聴こえてしまう。歌詞とメロディがチグハグだとこうなる。歌が歪む。

こういう時はいったんスイッチオフって愛犬にダイブ。気持ちが起き上がるのを待つ。今回はわりとすぐ起きた。おはよう。

すぐ起きたのは、次に試したいことを思いついたから。

曲を聴いた人が、安心してもらえたらなぁ〜。ふるさとぉ〜って、なってもらえたらなぁ〜。そんな想いから、心おちつく耳馴染みのよい歌を目指すことに!

「ドレミファソラシ」から「ファシ」を抜いた日本固有の音階、通称「ヨナ抜き音階」、「ドレミソラ」でメロディーを作ることにした。

わかりやすいようにテープを。

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しかしできない。意識して「ドレミソラ」でメロディーを作るもしっくりこない。絶望……してる余裕はない。捨てよう。一旦全部捨てよう。頭で考えすぎだ。

だってこの歌、日常のなんでもない歌やん。こんなあれこれ考えるんやなくて、自然にカラダからでてきたメロディーでいこう。

と、いまおもえば何故かはわからないが、妻の元へ。

北「ちょっとなんとなく弾き語ってみるから聴いてもらってもいい?」
妻「いいよー」
北「あさがきて〜きみにおはよう〜せ〜んたく〜ものま〜わし〜て」

と、歌詞をみながらぶっつけで歌ってみたのが、この曲だ。

妻「全然いいんちゃう」
北「あ、ほんま?でもなぁ。なんか普通やしよく使うコード進行やし$¬˚˚ø∆∆˚…」

ひと通りぼくの意見を聞いた妻がぼくの目を見て、こう言った。

妻「私からしたら、これを悩んで『湯』を悩まなかった理由が分からない。」

ぐぅの根も出ず、これでいくことに。

偶然なのかそのメロディーが「ファ」と「シ」をあまりつかってなかったので、構成音を「ドレミソラ」に変え、あれよあれよとできあがった。

これだ!

佐渡島さん古川さんに聴いてもらう。

北「売れそうとか、最近ぽいとか、そういう要素まったくないんですけど……」
佐「正直だから、これがもろ北川さんだから、いいんじゃないですか。伝わってきます。」

ぼくが現状そんなに売れてなくても、たのしく音楽をつくれているのは、これなんです。たびたび佐渡島さんはこう言います。

佐「3年これを淡々と続けていきましょう。そしたら絶対に変わります。なかなかこれを続けられる人がいない。」

長距離走。なんです。
短距離走じゃないんです。
だから、走るペースがなにより大事。

ここまでできたので、アレンジのsugarbeansへそうしーん!

数日後、sugarbeansからメールが。
アレンジに苦戦しているようだった。
全曲をアレンジしてくれているのだが、ここにきてウルトラスタンダードやりつくしてきたけんいちメロディーが来たのだ。そりゃ大変だ。

なのでわたくしなりに少しでもヒントになればと、こんな感じで、こういう解釈で、こんな編成の楽器でこういう雰囲気にするのはどう?と、おそるおそる提案した。

あくる日。
彼から届いた楽曲は、その提案すべて無視した最高のモノだった。

無視……は言い方わるいか。
いいのよ。人の意見なんか聞かなくていいのよ。

見守ってくれたみんなのおかげで完成!

その頃、毎日5、6時間インスタライブをしていたぼくは、レコーディングしているところも配信することに。

これが、やってみたらめっちゃ楽しかった!!

まずはレコーディングする際に見る歌詞を紙に書く様子を配信。

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歌詞を紙に書きながら、ふとみんなに「洗濯機をまわすって言う?それとも、洗濯物をまわすかなぁ?」と質問したら、ほぼ全員から「洗濯物!」とコメントが。それで、「洗濯機をまわして」という歌詞だったところを、「洗濯物まわして」に変更。

タイトルも、はじめは『おはようおやすみ』という曲名だったのだが配信中に「『ごはんできたよ』って言葉、いいよね」って、みんなと盛り上がり、それに変更。

コーラスもそうだ。もともと入れる予定はなかったのだが、歌詞にいくつかある妻のセリフを「奥さんが歌ってほしい」と、インスタライブでちょいちょい登場する妻にコーラス参加を提案してもらったのだ。はじめは無理だとおもったのだが、配信中にみんなのアイデアを片っ端から試してみて、僕の歌のバックでセリフっぽく言う今のカタチになった。これも不思議なもので、試してみていい時はコメント欄が滝のように流れて沸くのだ。

そして何よりうれしかったのは、「今のいい!」と、体温の上がる瞬間を、一緒に味わえたことだ。

ロードオブメジャーの『蒼天に向かって』という曲にこんな歌詞がある

よろこびは 誰かと分かち合ってそこで
はじめて よろこびってよべるんだ

20年近く前のじぶんに、「その気持ち大事にしなよー」って言われているような、そんな気持ちになった。

レコーディングも配信した。レコーディングはほとんどがNGテイクなのだが、もちろんそれもすべて聴いてもらった。メロディーを覚えていないままのぞんでいることもバレた。

この歌の在り方と、失敗もみせるというこの在り方は、とてもよかった気がしている。

「失敗してもいいやんか。」

…と、うたっている人が失敗を隠してたら、元も子もないもんね。

一緒に作って、観守って、聴き守ってくださったみなさん、本当にありがとう。

おかげでより、この歌を好きになれました。
また一緒に歌を、楽しいを、楽しみを作れたらうれしいなぁ。


あ、そうそう!
我ながら美しく締めたつもりやってんけど忘れてた!
今回のジャケット

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これもみんなにインスタライブで意見もらいながら描いたの!ああでもないこうでもないゆーて深夜の3時まで!笑
次の日お仕事に遅刻した人もいて!笑
ごめんやで!

でも、ありがとうな!
生まれてきて、音楽やってて、よかった!

手紙をかくように、1曲1曲メッセージから楽曲を制作した「レターズ」はひとまずここまで。来月からは「sounds」としてメッセージを音から表現するという新たなテーマで作っていこうとおもいます。ぜひ、来月も楽しみにしていただけるとうれしいですー!


<編集協力:井手桂司

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